第四章【ライフルと絵筆】

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(ねぇねぇ、あの人かっこ良くない?) (あ、イケメン!声かけてみよっか?) (あれって自衛隊の制服だよね?) (格好いいけど、ちょっと怖いね) そんな勝手なことばかり言う周りの女の子達にムッとしてチヒロはカズの腕を引っ張った。 「行くよ!」 突然引っ張られて驚いたカズは慌ててチヒロを止めた。 「ちーちゃんストップ、僕はここまで」 さらに驚いた顔をしたのはチヒロだった。 予想外のセリフに突き放されたような気がして切なくなった。 「どうして?」 チヒロの率直な疑問。 「自衛隊員は評判悪いから」 少し困ったような顔をするカズを見てチヒロはシュンとして俯いた。 「ちーちゃん、ごめんね…」 そう言ってカズはチヒロの頭を撫でた。 「行ってらっしゃい」 カズはいつものように優しく行って、チヒロの背中を押した。 .
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