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『グルルルル…フゥウ…』
赤い眼をした巨大なトラ…魔物だ!!
「お前…僕の友達になにするんだ!」
スフィアが怒りを映した目で魔物を睨んだが、小さいスフィアでは威嚇にもならない。
トラの魔物は嘲笑うかのように口角を上げて牙を見せた。
ぬらぬらと妖しく光る牙を見て背筋が凍る様な感覚を覚えつつも、スフィアはキールの前に立ち塞がった。
「スフィア…逃げろ!スフィアが勝てる相手じゃない!!」
「嫌だ!!キールを守るんだ!」
キールが必死に逃げろと言うが、スフィアは言うことを聞かずただ嫌だと言って魔物の前で仁王立ちし続けた。
(くそ…!村から離れれば危険になるってことを忘れていなければこんなことには…)
その時、魔物が丸太のように太い前足を持ち上げた。黒くて鋭い爪が光る!
「…!!!」
あの時の記憶がフラッシュバックして思い出される。
光る爪
鋭い牙
叫び声
咆吼
友達
キールの中で何かがブツリと切れた。
「ウワァアァアアァア!!もう友達が死ぬのは嫌だァァア!!!」
叫ぶのと同時に、声が聞こえた。
―…友を失いしキールよ、お前に友を守る力を与えよう…
キールは中から何かが溢れる様な感覚を感じた。
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