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いつも そんな病室で 彼は 1人
真っ白なシーツの上から
病室の やけに大きな窓からの 景色を眺めている。
面会者用の玄関も しっかりと 見通せるはずだから
―角度の問題でここからは彼を見る事はできないけど―
あたしは 彼の病室の 窓にむかって
大きく 大きく 手を振った。
そして すっと 病院に 入っていく。
あたしの 名前は
真柴 菜月(ましばなつき)。
毎日毎日.この病院に 通っている。
―――――…“けんしょうえん”とかいう 手の病気のせいもあるけど…
今 あたしの 病院通いの目的は
ある人に逢うため.になってる。
カン…カン…カン………
階段を踏むのが楽しい。
3階までの 46段。
彼の病室 303号室までの
大股 23歩。
これを あたしは毎日 繰り返してる。
今日は 大股22歩になっちゃったけど…。
あたしは ノックを二回だけして
病室の扉を開けた。
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