オバケヤシキ

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むつみが部屋を散策していると、何かを見つけたらしい。 引き出しの中を覗きこみながら、「何だコレ」と呟いている。 やがて引き出しの中に手を突っ込んで、ガサガサと探り始めた。 しばらくしてお目当ての物が見付かったのか、一瞬動きが止まった。 何かを掴んで出した。それはー 「ー何だただのバットか…」 それは、金属バットだった。 周りは酷く汚れ、黒く染みが出来ていた。 むつみは興味がないのか、バットをぽいと放り投げるとまた引き出しを探り始めた。 「何でこんなのがここにあるんだろうな」と賢祐。 しかし梨花はバットを見つめたまま、目が離せなくなった。 ー…この…バット… その彼女の様子に気付いたのか、賢祐は肩に手を置くと、「大丈夫か?」と訪ねた。 「うん…大丈夫」 …大丈夫だけど…… 他の5人は、 部屋の中を散策している。 しかし梨花には、何がそんなに面白くてそんなことをしてるのかわからなかった。 「うわあぁあっ!」 弘毅の野太い悲鳴に驚き、皆も悲鳴をあげる。 「ちょっと……うるさいな!びっくりさせんじゃねえよ」彰太は慌てたように言うと、弘毅の頭を強く叩いた。 「いってえ…!…だってよ、何かいるように見えたんだよさっき」 「弘毅くん面白い」耀子は笑いを堪えながら言う。 すると麻耶がまだ扉が開いているのに気付き、閉めに行こうとした。 その時ー ーバタンッ! 扉が勝手に閉まった。そして、真っ暗闇。 全員の心臓が跳ね上がった。 しばらくの沈黙。 そして麻耶がふうっと息を吐くと、安心したようにゆっくり口を開いた。 「きっと風でとび「きゃあぁああぁっ!」 耳をつんざくような女の悲鳴。 辺りに緊張が走る。 弘毅が慌てて懐中電灯で室内を照らすと、絨毯の上に梨花が横たわっていた。 賢祐は直ぐ様梨花の体を抱き起こすと、緊張した口調で「梨花、大丈夫か!?」と尋ねた。 しかし、応答はない。 賢祐は心配した様子でしばらく見つめていた後、諦めたように「気を失ってるみたいだ」と呟く。 皆梨花を心配そうに見つめる。 やがて賢祐は梨花を抱き抱えたまま立ち上がると、「ちょっと外で休ませて、一緒に様子見てくるわ」と言った。 そして、閉まった扉へと歩んでいった。          
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