ノロイ

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そこから皆は、何人かずつに別れて出口になりそうな場所を探した。 麻耶と彰太は一階、 弘毅、むつみ、耀子は二階を探すことにした。 まだ倒れている梨花とそれを見ている賢祐は、一階のあの部屋で待っていることにした。 賢祐は梨花をソファーに寝かすと、辺りを見回した。 懐中電灯の光だけで様子はよくわからないが、室内の異様さには気付いていた。 ーまだ人の暮らしているような屋敷… どの家具も、まるで掃除されているようにピカピカなのだ。 埃一つない。 賢祐はふと思いついたように、さっき彼女の凝視していたパンに手を伸ばした。 ーやはり変だ…… まだふわふわだし、黴も生えてない。 両面を見てみるが、それ以外に変な所はなかった。 彼はパンを置くと、さっきむつみが放り投げたバットを手に取った。 ー年季が入っているのか、ぼこぼこに凹んでいて、無数の傷。 そして周りにこびりついている、黒い汚れ。 そうしていると、背後から視線を感じた。 体を固くしてゆっくり振り返ると、目を覚ました梨花が彼を見つめていた。 彼は安心して梨花に向き直ると、優しく微笑んだ。 彼女は起き上がると、不思議そうに室内を見回し、自分がソファーに寝ていることに気がついた。 「あれ…私…」 「お前…自分が悲鳴あげて倒れたの覚えてるか?」 「…ううん…」彼女は小さく呟く。 彼はソファーの横に腰を下ろすと、「どうしたんだ?」と尋ねた。 彼女は脅えたような目でゆっくりと閉じられた扉を見つめると、口を開いた。 「…さっき…あそこにね、…誰か立ってたの……扉が閉まる直前に……私に向かって……笑ったんだ………それで私……あれ?それで…」 彼は扉を見るが、勿論そこには誰もいない。 彼女は、もしかしたら恐怖のあまり、幻覚を見たのかもしれないー 最初はそう思ったが、彼女の脅えた様子を見て、もしかしたら本物なんじゃないか…という考えも出てきた。 「…ごめんなさい…迷惑かけて」彼女は暗く呟く。 「俺は大丈夫だよ」明るく答える。 彼女の瞳には、心なしか彼がいつもより優しいように映っていた。          
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