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しばらくすると、麻耶と彰太が腕を組ながら戻ってきた。
二人の表情は暗くてよくわからないが、きっと残念な結果だったのだろう。
麻耶はその場に座り込むと、床を見ながら暗く呟いた。
「…窓さ……開かなかったんだよ……だから割ろうとしたんだけどさ………何しても駄目で…」
ーそうか…
そのすぐ後に、残りの3人も帰ってきた。
だが、結果は同じようだった。
暗い空気が漂っていた。
もう、自分達は出れないのか…
「あーもーいーよっ」
突然麻耶はそう言うと、その場に寝転んだ。
「…何が?」
彼女は起き上がると無理に作り笑いをして、明るい口調で語り始めた。
「別にさ、今無理に出ることもないじゃん。今出口がなくても、時間かけて考えれば何か浮かぶだろうし、それにほら、ママ達も心配してるでしょ?探しに来るだろうし、何日か経って帰らなければ警察に捜索願でも出すだろうし…そんな深刻に考えることもないよ」
少し沈黙が続いたあと、むつみも口を開いた。
「そうだよ。むつみ達のママすっごい心配性だし、見付けてくれるって!」
「…うん…だよな」
緊張していた空気が、少しずつほどけていくような気がした。
ーただ一人除いて。
賢祐は気付いていた。
何者かが、
恐ろしい刺すような視線で
自分達を見つめているのを。
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