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「ところで、お前田中に誘われたか?」
「あ、うん。もしかして、賢祐も?」
「ああ、俺も」
ーへえ。賢祐も誘われたんだ。
「お前さ…本当は怖いんだろ?」そう言い悪戯っぽく笑う。
「こ……怖くなんかないよ!」首を横に振りながら、慌てて言う。
そんな彼女の様子がおかしいのか、彼は笑い始めた。
彼女は恥ずかしそうに、「笑わないでよ」と呟いた。
「あ、もしユーレイが出たとしても、賢祐に倒してもらえばいっか」
それを聞いた彼は、さらに笑った。
「ばっかじゃねえの?ユーレイなんか出るかよ」
彼女はあのお化け屋敷を想像する。
あんな怪しい洋館でも、まだ誰一人として見た者はいないのだ。
ーまあ…確かにそうだよね…
その時は、まだ二人とも信じていなかった。
今夜自分達に降りかかる恐怖なんて、
全く想像できなかった。
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