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耳まで赤くなってる料理長の背中に頬擦りした。
いままで、かまってもらえるだけで良いやと
気持ちを伝えて、重いと拒否されたらと
臆病だったアタシ。
「料理長…アタシ」
好き。
長い間、言えなかったから
その言葉は、錆び付いてしまっていて、出てこなかった。
料理長もそうなんだろうか。
だから相変わらず、エビを剥く背中に向かって言ってやった。
「料理長。アタシ…欲しいもの、ありますよ…」
欲しいものから、言葉にしていこう。
錆び付いてしまった、『好き』が素直に言えるように。
欲しいもの。
それは
貴方の未来、ぜんぶ。です。
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