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「あらやだ。おまけだなんて失礼しちゃうわ」
ぷいっと横向くおかまさん。
「恋のキューピッドのつもりだったのに…」
よろよろと崩れるおかまさん。
「ちょっと!おかまさんおかまさん、うるさいわよ!」
ああ。
グラスが音を立てて転がっていった。
「もー。人の心配より、自分の心配よね!いいひと見付けないと…!」
よろよろしていた体に力がこもる。
さっきの女々しさなんて吹き飛んで
なんだか体育会系の熱さがにじんできた。
ぐぐっと拳をにぎりしめて
「背が高くて、顔がよくってお金持ちで優しくて」
べらべらと、自分の理想像を述べたあと
酔っぱらいは、びしりと正面指差して
「アタシの事も書きなさいよね!脇役扱いした罰よおお」
夜中の居酒屋に、おかまさんの悲しい祈りが響きわたったとさ。
…気がむいたら、ね。
てへ。
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