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ふう。
深い溜め息をつくと、財布を机からひったくりポケットに。
「あら、帰っちゃうの?」
「……シゲルも出勤時間だろ?」
「休みよ…。久々にあんたと飲もうと思ってたんだけどね。良いわ。おっかけるんでしょ。あのカワイコチャンを」
シゲルって呼ばれまたブツブツと文句を言うそいつに
店閉めるから、また今度来いよって店から追い出した。
「もー…。あんたも、その好きな子いじめるの…程々にしなさいよね」
じゃあねーって華やかなオカマさんは投げキスして去って行く。
気色悪すぎ…。
そいつ見送って、店閉めて…。
うわ。
…電車、終わっちまった。
歩く、か。
まだ肌寒い春の夜風を身にまとい歩き出す。
「いじめるのも、程々に、か…」
恥じらい、頬を染め声を押し殺してる姿を思い浮かべ。
にやけるクチモトに手を押し付ける。
今日は何していじめよう。
いや、妄想どうのこうのより
もっと違うことで悩みなさいよ、料理長…。
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