1.好きになっちゃいけない人

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 私は泣いた。どのくらい時間が立ったのか分からない程、泣いた。 【雫……お前の幸せが、おじいちゃんの幸せなんだよ――】  祖父の言葉が頭の中に響く。  優しくて、暖かくて、ごつごつと骨張った大きな祖父の手。私は、その手が大好きだった。その手で頭を撫でられるのが大好きだった。  もう、もう二度と頭を撫でてもらえない。  頭上の瓦礫の山は、今にも崩れ落ちそうだった。なんとかもがいてみるが、身体はびくともしない。  ああ、私はここで死ぬんだ。  死にたくない。  生きたい。助けて……誰か助けて。神様、どうか助けて……。
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