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その時だった。
瓦礫の隙間から光が射し込み、私はその眩しさに眼を細めた。
「大丈夫か!!誰かいるのか!!!」
凛とした心地よい重低音。男性の声だ。
「はい……ここに、います…」
衰弱しきった私は、一言それだけ言葉を発した。そして、私の目の前に手が差し伸べられる。ごつごつとした大きな掌だった。
「はやく、掴まるんだ。今助けるから、しっかり掴まりなさい」
私は、全身の力を振り絞りその手を掴んだ。優しく、暖かく、懐かしい掌だった。
これは……おじいちゃんの――。
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