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私は、病院にいる間ずっとその男性の事が気になっていた。
助けてくれたこと……もっときちんとお礼を言いたかった。
ただ、それだけだった。
それだけだったはずなのに――。
キーンコーンカーンコーン
放課後、私は昇降口で琴音と待ち合わせていた。右足を引きずりながら、階段を下り昇降口へと向かう。
私の右足は、自分の意思通りに動かない。
瓦礫に挟まった両足は、骨が折れていてリハビリを続けた結果、左足は動くようになったが靱帯を酷く傷つけた右足だけは、事故の後遺症が残ったままほとんど動かなくなっていた。
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