1.好きになっちゃいけない人

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 背の高い男性は、驚きつつも琴音を愛しそうに抱きすくめる。 「お帰り、琴音」 「うん、ただいま。あのね!!今日、友達呼んだの。ほら!!この前、話してた親友の雫だよ」  私は、ゆっくりと歩きながら縁側の方へと向かう。  周囲には池があり、中には色鮮やかな錦鯉が優雅に泳いでいる。 「おーい、雫。こっち~パパ紹介するね」 「パパ?」  私の眼に、除々に近づいていくその男性の顔が鮮明に映し出される。  夕日に映えるオールバックの黒髪。口元に携えた髭。柔和な笑顔……忘れる訳ない。あの人は――。
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