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背の高い男性は、驚きつつも琴音を愛しそうに抱きすくめる。
「お帰り、琴音」
「うん、ただいま。あのね!!今日、友達呼んだの。ほら!!この前、話してた親友の雫だよ」
私は、ゆっくりと歩きながら縁側の方へと向かう。
周囲には池があり、中には色鮮やかな錦鯉が優雅に泳いでいる。
「おーい、雫。こっち~パパ紹介するね」
「パパ?」
私の眼に、除々に近づいていくその男性の顔が鮮明に映し出される。
夕日に映えるオールバックの黒髪。口元に携えた髭。柔和な笑顔……忘れる訳ない。あの人は――。
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