3.運命の悪戯

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 それから、私は毎日のように放課後は琴音の家を訪れた。 『やあ、いらっしゃい。雫ちゃん』  蓮二さんは、普段と変わらぬ笑顔を私に向けてくれる。優しく暖かく包み込んでくれるような柔らかい笑顔。  私は蓮二さんの笑顔が大好きだ。  今日こそ……お礼言わなくちゃ。  私は、なかなか事故の時のお礼を言いだせずにいた。覚悟を決めて、手作りのクッキーもプレゼントしようと持参してきたが――。  蓮二さん、甘いもの好きだといいなぁ。  不安な気持ちでいっぱいだった。
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