4.ファーストキス

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『ずく……雫ってば!!』 「え――ああ、ごめん。何の話だっけ?」  さんさんと照りつける夏の日差しに眼を細める。  私と琴音は、気分を変えて校庭の隅にある大木の下で昼食を取っていた。  手に持つクリームパンを見つめ、ため息をつく。  私の頭の中は、蓮二さんとお母さんのことで一杯だった。  私の命を救った恩人。  その人は、親友である琴音の祖父だった。  偶然の出会い……そして、31歳も年上の人を好きになってしまった私。  でも                               【実は……お母さんね、その、蓮二さんのことが――好きなの】                               母のその一言で、気持ちが揺らぐ。
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