489人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
『ずく……雫ってば!!』
「え――ああ、ごめん。何の話だっけ?」
さんさんと照りつける夏の日差しに眼を細める。
私と琴音は、気分を変えて校庭の隅にある大木の下で昼食を取っていた。
手に持つクリームパンを見つめ、ため息をつく。
私の頭の中は、蓮二さんとお母さんのことで一杯だった。
私の命を救った恩人。
その人は、親友である琴音の祖父だった。
偶然の出会い……そして、31歳も年上の人を好きになってしまった私。
でも
【実は……お母さんね、その、蓮二さんのことが――好きなの】
母のその一言で、気持ちが揺らぐ。
最初のコメントを投稿しよう!