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私も、琴音のその言葉に思わず笑みを零す。
キーンコーンカーンコーン――。
聞き慣れた規則正しい、チャイム音が教室内に響き渡る。
その音を聞いて、慌てて琴音は教室を飛び出した。
「じゃあ、また後でね」
と手を振りながら、隣の自分の教室へと戻っていく。
私も、手を振りながらその後ろ姿を見つめた。
教室から、吹き込む風は爽やかですがすがしい初夏の薫りを運ぶ。
その風に眼を細めながら、なびく髪を耳にかける。
そろそろ、美容院行かなくちゃ、髪伸びたなぁ……。
肩まで、ゆったりと流れるストレートの黒髪。二重の黒い大きめの瞳、小さな団子っ鼻に厚めの唇。
決して、私は美人ではない。可愛くもない。どこにでもいる普通の印象の薄い顔立ち。
ただ、普通と違うのは、私は高校一年なのに18歳だということだけ。
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