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「…大丈夫ですか?」
転ぶと思ってつぶっていた目を開くと、さっき声をかけてきた黒髪の人に抱きしめられていたことに気付く。
「え、あ……すいません」
綺麗な顔が思ったより近かったので、つい声が吃ってしまった。
女…男……??
中性的なその顔は、凄く綺麗で思わず見とれてしまう。
「そんなに見つめられますと、恥ずかしいです…」
「あっ、すいません」
「いえ…では、こちらへ」
うわ…超恥ずかしい……。
顔を赤くしながら、その人の後をついていくと、この部屋がめちゃくちゃ広いことがわかった。
最初起きた時は、壁なんか見えなかったから部屋に居る感じがしなかったんだけど、ここは前原の家よりはるかに広い。
その癖、出入口は一つしかなくて、さっきまで自分が寝てたベットからかなり離れている。
なんか、この部屋はまるで………
「神殿みたい…」
思わずそう口にすると、ほぼ同時に出入口の扉を開きながら黒髪の人が後ろを振り向く。
「そういえば…自己紹介が遅れましたわ」
「え?」
「…私の名は、林檎リンゴと申します。」
「林…檎?」
「えぇ、よろしくお願いします、裕也様」
なんで僕の名前……
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