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いきなり黙り込んで頭を抱える裕也。
林檎は少し困ったような顔をしたが、取りあえず見守ることにした。
(無理もない……長い間閉じ込められていたのだから…)
そんなことを思いながら裕也を見る。
「やって…みる、か…」
正直、オジサンとの記憶は物理的にも有り得ないことばかり。
そんなものをしっかりと覚えているのも馬鹿らしく思って最近は封印していた。
が、このよくわかんないところに飛ばされてからは、鮮明に思い出す。
そんなことを思いながら、昔やってみせたように向こうの方の扉を意識しながら指を鳴らしてみる。
───次の瞬間、目の前には大きな扉があった。
「あ…れ、?」
状況が読み込めず後ろを振り向くと、遠くの方に林檎の姿とさっき通ってきた扉が見える。
(ってことは……まさ、か…)
驚いているのは裕也だけではなかった。
「……え?」
目の前にさっきまで居たはずの裕也が一瞬にして向こうの扉の前に立っている。
(こんなこと…)
まさか、速歩と長歩を一遍に?
しかも何も言わずに。
そんなこと出来る人なんて見たことない。
やっぱり彼は……
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