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目の前には大きな……
「……城?」
「はい、裕也様が連れ去られてからもう150年。
あれから城も建て直しました。
さぁ、こちらへ」
林檎は嬉しそうにそう話すと裕也をその城の方へ促す。
(連れ去られた……?150年?)
わけがわからずただその場に立ちすくむ裕也の目の前にそびえ立っているそれは、真っ白な煉瓦で造られた、西洋の城のようなものでかなりの大きさだ。
裕也の知っている、社会科で習った現存する城たちの中でも、こんなに大きくて、しかも綺麗な城は無いだろう。
後ろを振り向けば、自分がいたその建物も結構立派なもので、建物の周りには1㍍間隔位に白いタキシードに似た服装の者がたくさん並んでいる。
さっきから目に入るものは皆、白、白、白…
なんだか綺麗過ぎて気持ち悪い。
「裕也様、いつまでそちらに立っているのですか?」
ハッと前を向き直せば、林檎は既に馬鹿デカい門の前に立っていた。
「あッ、すいません…」
今は夜なのだろうか。
あたりは物音一つ聞こえない。
空を見てみようと上を見てみても、白い雲のようなものが空を覆い尽くしている。
城の周りにも、見渡す限り何もなくて、ただただ白い砂漠が続いていた。
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