002 ヒガシの国

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──ギギギー 何とも不気味な音を起てて大きな扉が開く…… と、思っていた裕也だったが。 予想を裏切り、その城の中央の大きな門の扉は、大した物音一つ起てずに一瞬にして開いた。 敢えて効果音をつけるとしたら『パンッ』と開いた。 その分厚くデカい扉を、林檎の後に続きながら通りぬければ、城の外壁からは見れなかった、城内部の造りが段々見えてくる。 「名を申せ」 林檎と共に、その城自体の入口であろう、これまた大きな扉の前に立てば、扉から声が聞こえる。 「私は林檎。こちらに見えるのは、先程お目覚めになられた裕也様にあられる。 扉よ、裕也様の匂いを忘れることなかれ」 どうやら林檎は扉と会話しているらしい。 不思議なことが多過ぎて、もはや認めざるを得ない。 裕也は内心そう思いながら、顔も、口も、何もついていない目の前の相変わらず白い、喋る扉を凝視していた。 「ゆっ、裕也様だと? それに、貴女は林檎か。 何とっ、遂に、遂に時が来たのだなっ?」
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