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「オジサンー、オジサンー」
30分間のお昼休み。
外に遊びに行くふりをして、僕はオジサンの所に行っていた。
「おぉ、今日も来てくれたのかぁ。
さぁ、時間がない。始めよう」
「うん!」
当時の僕は、まだ小学2年生。
でもその時には既に、3年間もそこに通いつめていた。
オジサンがいるのは、街外れの駄菓子屋。
僕が知っている限り、誰もこの店に買い物には来てない。
それくらい、ボロいお店。
もちろん、色んなお菓子がたくさん置いてあるんだけど、僕にはそんなもの興味がなかった。
「今日は何やるの?」
「今日はね、石を蝶に変えるんだ」
「この石を?」
「あぁ」
そう言うと、オジサンはお店の中に入ってた石を一つ手に取る。
「──蝶よ、舞え」
オジサンが石に向かってそう言うと、石がぐにゃぐにゃになって、次の瞬間蝶になる。
それは、相変わらず石の色をしてるが、ヒラヒラと飛んでいく。
色さえ除けば、立派な蝶そのもの。
「すごーい!!」
「さぁ、このままだと不格好だから色をつけよう。
そこの虫の図鑑をとってきておくれ」
「うん!」
オジサンに図鑑を渡せば、オジサンは蝶のページを開く。
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