001 オジサン

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「オジサンー、オジサンー」 30分間のお昼休み。 外に遊びに行くふりをして、僕はオジサンの所に行っていた。 「おぉ、今日も来てくれたのかぁ。 さぁ、時間がない。始めよう」 「うん!」 当時の僕は、まだ小学2年生。 でもその時には既に、3年間もそこに通いつめていた。 オジサンがいるのは、街外れの駄菓子屋。 僕が知っている限り、誰もこの店に買い物には来てない。 それくらい、ボロいお店。 もちろん、色んなお菓子がたくさん置いてあるんだけど、僕にはそんなもの興味がなかった。 「今日は何やるの?」 「今日はね、石を蝶に変えるんだ」 「この石を?」 「あぁ」 そう言うと、オジサンはお店の中に入ってた石を一つ手に取る。 「──蝶よ、舞え」 オジサンが石に向かってそう言うと、石がぐにゃぐにゃになって、次の瞬間蝶になる。 それは、相変わらず石の色をしてるが、ヒラヒラと飛んでいく。 色さえ除けば、立派な蝶そのもの。 「すごーい!!」 「さぁ、このままだと不格好だから色をつけよう。 そこの虫の図鑑をとってきておくれ」 「うん!」 オジサンに図鑑を渡せば、オジサンは蝶のページを開く。
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