003 世界の構造

3/8
前へ
/27ページ
次へ
固まる裕也に、 林檎は(あぁ、やっぱり)と思い軽くため息をつく。 今頃になって思い出した。 あの日、林檎が聞いた言葉を。 『もしかしたら…ここのことを忘れてしまうのかもしれないなぁ……』 「忘れているようですね、 失礼致しました。 今まで混乱していたことでしょう。」 頭を下げる林檎。 裕也はといえば、 頭の中がぐちゃぐちゃで、軽く混乱状態だ。 「あのー…」 「はい」 「俺はここに居たんですか?」 裕也は間違いであってほしいと願いながらも聞く。 しかし林檎は頷くと共に、 「裕也様は、ヒガシの国の王にあらせられます。」 衝撃的な、それでいてどこぞのアニメにでもありそうなことを言った。 「………王?」 「詳しい話は後にしましょう。責任を持って、説明させます。 まずは、城に着かねばなりません。」 そう言うと林檎は、大きく息を吸い、ふーっと大きな音をたてて、裕也と林檎の立つ地面に、吹き掛けた。 「時は満ちた、しかと動け」 そう言うと、みるみる林檎が地面に沈んでいく。 置いていかれるのではと、一時不安になったが。 気がつけば裕也も、足元が沈んでいた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加