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固まる裕也に、
林檎は(あぁ、やっぱり)と思い軽くため息をつく。
今頃になって思い出した。
あの日、林檎が聞いた言葉を。
『もしかしたら…ここのことを忘れてしまうのかもしれないなぁ……』
「忘れているようですね、
失礼致しました。
今まで混乱していたことでしょう。」
頭を下げる林檎。
裕也はといえば、
頭の中がぐちゃぐちゃで、軽く混乱状態だ。
「あのー…」
「はい」
「俺はここに居たんですか?」
裕也は間違いであってほしいと願いながらも聞く。
しかし林檎は頷くと共に、
「裕也様は、ヒガシの国の王にあらせられます。」
衝撃的な、それでいてどこぞのアニメにでもありそうなことを言った。
「………王?」
「詳しい話は後にしましょう。責任を持って、説明させます。
まずは、城に着かねばなりません。」
そう言うと林檎は、大きく息を吸い、ふーっと大きな音をたてて、裕也と林檎の立つ地面に、吹き掛けた。
「時は満ちた、しかと動け」
そう言うと、みるみる林檎が地面に沈んでいく。
置いていかれるのではと、一時不安になったが。
気がつけば裕也も、足元が沈んでいた。
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