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やがて視界が真っ暗になり、土の中に埋もれたというよりかは、いくらか無感覚の世界に裕也は居た。
夢……にしては、あまりにリアルだし、これはもう認めざるを得ないのだろう。
変な世界に、自分が今、居るということを。
ただ、何もない暗闇の中で裕也は一人、そんなことを頭の中で考えた。
もし仮に林檎の言うように、俺がここの王様だったとして、そしたら……
前原家で過ごした、幼少からの記憶は、
そして、確かに存在した前原家での10数年の日月は、なんだったのだろうか。
考えれば考えるほど、わけがわからなくなる問題に、裕也はいつの間にか閉じていた両目を開いた。
「………えっ?」
すると目の前には、今度こそ城の入口、しっかりとした門番の立つ、それらしい大きな門がそびえ立っていた。
(いつの間に……)
「裕也様、こちらへ。」
ぼうっと突っ立っていた裕也に林檎が声掛ければ、裕也は数歩先を歩く林檎に小走りで追い付く。
「ここが……さっき見えてた城の入口ですか?」
「はい、裕也様の城でございますよ」
丁寧にそう答える林檎に、裕也は やはり実感のわかない話だ、と首を傾けた。
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