003 世界の構造

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城の門番らしき人は、皆、そろって林檎と裕也を見るやいなや頭を深々と下げた。 家での光景によく似ている。 毎日、俺が家に入れば、綺麗に並んだ使用人たちが頭を下げて出迎えてくれていたし。 ‥……みんな、俺が急に消えて、今頃どうしているのだろう。 自分の置かれた訳のわからない状況に混乱して、前原家のことを全く考えてなかった。 心配しているだろう。 混乱しているだろう。 「こちらです」 悶々と考えながらも、目の前を先導してあるく林檎に着いていって歩くと、 いくらか階段や重々しい廊下を歩いて、ようやく金色の、一際大きく立派な扉の前にきた。 (………そういえば、) 仮にも城なんだから、ここにくるまでに、何人か使用人や兵、役人なんかの何かしら人に会うはずなのに、 人っ子一人見当たらない。 そんなことを不思議に思って考えている裕也を尻目に、 林檎が目の前の扉に手を添えて開けると、そこには…‥‥ 「…………え?」 「これは、   裕也様がかけた魔法。 裕也様が戻られた時に、 裕也様が、   解く手筈になっています」
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