001 オジサン

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前原家はとにかくいい家族だ。 僕に“家の事情に巻き込んでしまってすまない”と、何度も謝罪の言葉をかけてくるし、血は繋がっていなくても、家族として大切にしてくれる。 僕は僕で、そんなお父様や紗奈耶さんの力になりたくて、毎日必死に勉強する。 それが僕なりの恩返し。 「すいません、レポートのきりが悪くて…」 「気にしないで、」 紗奈耶さんは綺麗な長いサラサラの髪をなびかせながら、席に着くよう促す。 「「「いただきます。」」」 三人揃ったところで食事をとる。 これは家族間で暗黙の了解としてある、決まりのようなもので、お父様が仕事で遅れても、皆で待っている。 「裕也、」 「はい」 皆が食べ終えてきた頃、不意にお父様が僕の名前を呼ぶ。 「高校は何処に行くか、決めたかい?」 「はい、秀英学園に行こうかと」 「秀英か、私の母校だね。 頑張りなさい」 「はい」 秀英は、日本のトップ高校と言っても過言ではない程の学校。 お父様のためにも、そこに行こうと昔から決めていた。 「あら、私の後輩になるのね」 秀英は、紗奈耶さんも通っている。 「よろしくお願いします」 「受かったらね」 「うぅ……はい」
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