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「お前が必要になってきた。
早く来て」
「は?」
その女の人は、人形のようで無表情のまま僕にそれだけ言うと、前に倒れる。
「うわぁっ」
あまりのことに驚いて、慌てて女の人を支える。
だけどその肌からは温かさが感じられず、死人のように冷たい。
(生きてるの…か?)
思わず疑ってしまうほどだ。
家の者を呼ぶべきだろうか…いや、それはまずい。
もし死んでたりしたら、お父様に迷惑がかかる。
(どーすんだよ)
そうやって悩んでいると、いきなり女の人がバサッと起きた。
「うわぁッ」
いきなりのことにびっくりして、情けない声をあげてしまう。
「…お前が必要だ」
女の人はそう言って気持ち悪いほど白い指を裕也に向かって指す。
でも、こんな人会ったことも見たことも無い。
必要って言われても…
「私には何のことかわかりませんが…人間違いではないでしょうか?」
「…石を蝶に変えてごらん」
急に小さな声で、しかもどう考えても男の人の太い声が女の人から聞こえた。
よく聞き取れない。
「え?」
「石を蝶に変えてごらん
…オジサンをわすれちゃったかな?」
「オジサン!?」
それは紛れもなく記憶の中のオジサンの声だった
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