001 オジサン

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「お前が必要になってきた。 早く来て」 「は?」 その女の人は、人形のようで無表情のまま僕にそれだけ言うと、前に倒れる。 「うわぁっ」 あまりのことに驚いて、慌てて女の人を支える。 だけどその肌からは温かさが感じられず、死人のように冷たい。 (生きてるの…か?) 思わず疑ってしまうほどだ。 家の者を呼ぶべきだろうか…いや、それはまずい。 もし死んでたりしたら、お父様に迷惑がかかる。 (どーすんだよ) そうやって悩んでいると、いきなり女の人がバサッと起きた。 「うわぁッ」 いきなりのことにびっくりして、情けない声をあげてしまう。 「…お前が必要だ」 女の人はそう言って気持ち悪いほど白い指を裕也に向かって指す。 でも、こんな人会ったことも見たことも無い。 必要って言われても… 「私には何のことかわかりませんが…人間違いではないでしょうか?」 「…石を蝶に変えてごらん」 急に小さな声で、しかもどう考えても男の人の太い声が女の人から聞こえた。 よく聞き取れない。 「え?」 「石を蝶に変えてごらん …オジサンをわすれちゃったかな?」 「オジサン!?」 それは紛れもなく記憶の中のオジサンの声だった
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