001 オジサン

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「昔教えただろう、人形を操る魔法を」 女の人は相変わらず虚ろな目を僕に向けながらそう喋る。 けれどもその声は、明らかに懐かしいオジサンの声。 「ォ…オジサン?」 「そう、昔はそう呼ばれてたね 覚えてるかい?」 「忘れてはいません…けど、夢かなんかじゃないんですか?魔法なんて」 幼い頃の記憶を、最近では"夢"という風に処理して考えていた為、そんなこと言われても困る。 「魔法なんて、今目の前にあるじゃないか」 「目の前? まさか、この女の人を操ってるなんて言いませんよね?」 「その通り!よく覚えてたね。 これは人形。 さ、そろそろ行こ、君が必要になってきたんだ」 「え?行くってどこに?」 「もちろん、こっちに 昔話したろ?」 「え?」 無表情の女の人の口から陽気なオジサンの声がしてきて、なんだか気持ち悪い。 「ま、とりあえず来てもらうから」 オジサン(というか女の人)がそう言うと、周りの景色が一気に色を無くす。 在るのは僕の体だけ。 (なに………これ) 全く今の自分の状態がわからず、あたりを見るが辺り一面真っ白。 まるで宙に浮いているかのように、着物を着たまま僕はその世界にいた。 .
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