二人の世界

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ドアを閉めたあと、「沖田さん、盗み聞きなんて趣味悪いわよ。」「いや、そういうわけじゃないんだけど・・・。」「わかってるわよ。おかげで説明せずにすんだし~。」まったく、このねぇちゃんはよくわからない。「オレはどうすればいいのかな・・・?」「さぁね。まあ、いつもと変わりなく接してやればいいんじゃない?」もっともな意見だがそれが意外と難しい。どこかで意識してしまうのが人間である。そしてその意識してるところを敏感に感じ取ってしまうのも人間である。「ミヨちゃんは長くないんですか?」「だ~か~ら~、まだこれからどうなるか分からないのよ。長くないって言ってもあと20年生きるかもしれないし。沖田さんだって明日階段から落ちて死ぬかもしれないんだし、みんなどうなるかわからないのよ。それに明日も来てくれるって思ってるんだから行きなさいよ。」そう言って看護士さんは帰っていった。
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