出会い

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清潔感漂う白いベッド。頭の上には[沖田コウイチ.25歳.男]と書いてある名札がある。当然オレの名前と年令、性別だ。もうここにきて1ヵ月がすぎた。体の方はよくなってきている。周りの看護士さんもやさしくしてくれる。今日は昼ご飯を食べたあと、車椅子で病院の中を見て回ることになった。ここ1ヵ月ずっと白い天井しか見ていない気がしたので少しだけ楽しみにしていた。車椅子は仲のいい看護士さんが押してくれることになった。25にもなって・・・と思い、「一人で大丈夫です。」と言ったのだが、「その右腕で何ができるのかしら?それじゃ、車椅子を動かすことができないんじゃない?」「う・・・。それは・・・。」もう何も言えなかった。「おねぇさんに任せなさい!!」そう言われて押してもらうことになった。オレを乗せた車椅子は病院の中庭や、屋上をまわり病室のある階へ戻ってきた。部屋へ戻るまであと少しとなった時、廊下を一人の女の人が横切った。
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