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チチチチチ
暖かい朝日が窓からこぼれ落ち、紅い絨毯を敷いた廊下に格子の模様を落とす。
その上を靴底で踏みしめ上司の寝室へと向かう、毎朝繰り返すこと。
シーツを抱えたメイドと擦れ違う、これも毎朝繰り返すこと。
数ある部屋の中でも特に絢爛豪華な装飾をされたドアの前に立ちノックを二回、これもそう。
この後部屋に失礼して、まだシーツにくるまっている彼の人を優しく起こして差し上げるのもまた然り。
金のドアノブを回してドアを開くと、予想通り紅いカーテンは閉めたっきり、白いシーツは膨らんでいた。
しかし何かが違う、なんだか今日はいつにも増してシーツの膨らみが大きい。
「………」
はっ!と、ある可能性に気づき私は強引にシーツをはぎ取った。
もう見慣れた上司の裸体と、見慣れない肢体。
キツいウェーブのかかった金髪の女はパチッと目を開け、それから耳をつんざくような悲鳴を上げた。
手に持ったシーツを女に投げかけ、窓に近づきカーテンを開ける、半ば乱暴にだ。
背後でガタガタ何か喚いているが、特に気にもとめずガタガタ言う窓を開けた。
「……んー、ん?」
女と同じく全裸で寝ていた上司はようやく目を覚ましたのか何度か何度か瞬きをし、女の悲鳴か朝日かに眉をひそめ体を起こした。
「おはようございます国王陛下」
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