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「……あと三日は起こすな」
「夜のお勤めでお疲れなのは承知しておりますが、執務がございます」
「コック長にやらせればいい、ちょ、シーツ返して」
「コック長は陛下の朝食作りに忙しいのです」
女が体を隠しているシーツを強引に奪おうとする辺り男として最低だ。
ハンガーに掛けてあったバスローブを女に渡し、代わりにシーツを受け取った。
女はバスローブを羽織り、ベッドから降りて昨夜脱ぎ捨てた服やら下着やらをかき集めだした。
「……シーツ」
「夜になったら返して差し上げます」
「…じゃあ今が夜な、この国では太陽が出てるうちが夜な、ほら返「ご婦人、お好きな色を伺ってよろしいですか?」無視か」
ぶちぶち文句を付けながらも半身を起こした彼は、全裸にも関わらずあぐらをかいて枕を抱えた。
当然のように前なんて隠さない。
服を抱えた女は突然話を降られて困惑していたが、小さく赤、と答えた。
「わかりました、では赤いシルクのドレスを贈らせていただきます。もちろんそれに合う靴とアクセサリーも。それからお帰りの馬車も用意させていただきます」
「え、えぇ?」
「バラの花束もご用意しましょう、国王陛下のお気持ちです、お受け取りなさい」
エスコートするように腰を抱いて半開きのドアまで送る。
通りがかったメイドに使いを頼み、女を託した。
やはり困惑した顔をしていたが、その目が期待に輝いていたのは見逃せなかった。
恐らくは城下町の娼婦だろうが、いい目を見させてやるに越したことはない。
女はいずれ駒になる、飼い慣らすきっかけには丁度良かった。
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