新しいお召し物

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「こちらでございます どうですか?胸の辺りの刺繍など素晴らしい出来でしょう!異国の職人に依頼して、一針一針丹念に縫わせたものです。 生地は最上級のベルベット、袖口にあしらったレースはアンティークで、世界に一つしかございません。 腰や肩の革の部分は子牛の…」   自信たっぷりに両手を掲げ、王の賞賛を期待する目を向ける。 だがそれを見つめる陛下の目はきょろきょろと空中をさまよい、暫くして再び服屋を捕らえると   「…どこだ?」   疑問は広い広い謁見の間に響いて、ふわっと余韻を残して消えてしまった。 服屋ジェバンニは目を丸くしている。 あぁ、いい面だ。   「…こっ国王陛下!これは飛んだ一大事だ! このお召し物には魔法がかけられております、バカには見えない魔法なのです!これは魔法の副作用によりベルベットの艶を増すためにかけたものなのですが…。 ですが、わたくしめは敬愛する王様がよもや見えないなどと言うことはないと「黙れ服屋マジ黙れバーカ」   確かに彼の本職は魔法使いである、学生時代は魔法科学を選考していた。 その才能は定かではなかったが。
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