時を止めた少女

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あっと言う間に8月夏休みも中盤に迫ってきた。 あの夜から母親は父親がいないとき私を蹴ったり殴ったりするようになった。 体には痣が沢山できて外にでることも出来ず部活は事故ということで休まされた。 ただ生きているだけの世界。 1日の半分を苦しみに堪えることで過ごした。 日曜日に罪悪感からか父親がパソコンを貸してくれた。 何故だか父親を憎めなかった。 その日から私はチャットの世界に浸かるようになった。 『クスクス。優ったらまた寝てたんだ』 現実から逃げるようにパソコンで会話をした。 だけどそこでは本当に笑顔を取り戻せているような気さえした。 誰も私に酷いことなんてしない。 人と触れ合うことに大きな拒絶を覚えた私はすぐに架空の世界の虜になった。
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