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ヨツバを優しく撫でつつ全体的に観察した。
三毛猫…雌…所々の汚れ…傷…
あれ、待てよ…三毛猫の雌って中々居ないんじゃ…?
…………そうか、産まれながらにして幸福でも…変わらない、か…
世の中も腐ったな…
僕は眉を寄せ、怪訝な顔をした。
「…にぃー……」
ヨツバは心配してくれてるのか、小さな左前足で僕の左頬をちょいちょいっと叩いた。
「ちょ、ヨツバ冷たいって…元気、大丈夫だから…。」
苦笑を浮かべつつ、くしゃっと小さな頭を撫でる。
ヨツバは幸せそうな表情になり、ごろごろと喉を鳴らした。
…どうしてだろう。さっきまで重かった心が軽くなった気がする。
雨と共に流れていた涙もいつの間にか笑顔になっている。
……あぁ、そうか…こいつのお陰か…
家路を辿る足音と雨音が静かに響く。
それは孤独では無かった…。
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