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「ただいま…」
返事は、勿論無い。そりゃそうだ…父も、母もとうに他界し一人っ子の僕はここに一人で住んで居た…。
昨日までは、鈴華も居たのにな…
情けない。別れた女の事など、今更思い出すなんて…
「みゃぁ~」
お帰りだか、ただいまだか…はてまた慰めてるのか…ヨツバが一声鳴いた。
「ははっ。風呂…入るか、風邪ひいちゃうもんな…」
まだ心からでは無いが、笑っていられるのはヨツバのおかげか…感謝しなくちゃな。
水滴を弾きながらまた頭をくしゃくしゃと撫でてやり、お風呂へと向かった。
「……………そういえば、シャンプーが無い…」
自分の頭が洗い終わり、さてヨツバを洗おうと見直すと、初歩的な事に気が付いた。
そりゃ…動物何て飼った事ないからな……
そう思いつつ、棚を開けて買い置きの石鹸を取り出し優しく洗った。
ヨツバは猫にしては珍しく、本物のシロツメ草の様にシャワーを浴びる事を喜んだ。
よっぽど汚れていたのか、灰色の部分が真っ白になり泡が灰色になった。
「流すぞ」
目と耳に入らない様に優しく抑え、シャワーで泡を洗い流した。
………………
…………
………
「…………………ふっ…あっははははっ」
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