*ぬくぬく日向*

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 「はぁはぁはぁ…」 息が、あがっている。 走る、走る、走る。 逃げる、逃げる、逃げる! バッ!! 「!!?」 飛び出した見知らぬ森の先の、キラキラした丘には… 「すず…か…」 鈴華が、気にもたれて涙を流していた。 「…貴方の、せいよ」 「…え?」 小さく放たれた言葉は微かに聞き取れたが、意味が、理解出来ない。 「貴方のせいで。。。アタシ、コンナニナッチャッタ」 みるみるうちにぐちゃ、びちゃっと音を立てて鈴華は崩れた。 「ぅ…うわぁああっ!!!」        そこで、目が覚めた。 夢で走った時と同じ位、息があがっていた。 「…母さ…ん」 崩れた鈴華の体は、他界した母さんだった。 ………そう、事故、で。  ふと、縁側が目に入る。 鈴華がそこで、微笑んでる気がしたのだ。 しかし、目に入るのは暖かな光と、父の盆栽だけだった。 「…みぃ」 ヨツバが、汗だくになった僕の頬を心配そうに舐めた。 ゾリッゾリッとザラザラとした部分が頬と擦れる。 「大丈夫だよ…ありがと…」 こたつでフカフカになったヨツバの頭をフワフワと撫でた。 「にゃぁ~」 ゴロゴロと喉を鳴らして幸せそうに鳴く。 まるで小さな人間の子供の様に思えた。
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