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桜の花も淡く色付き、ここ鳥羽高校も新たな春を迎え入れようとしている。
『第49回 鳥羽高校入学式』
校門の前にくくりつけられたそれは、誰もが目を見張る程の大きさだったが、ある少女は、微動だにしなかったという………
「どうか平穏な学園ライフが送れますように……」
校門の前で合掌する少女こそが、入学式の看板を気にも止めなかった唯一の新入生。
閂 呉羽だ。
彼女はヤクザの家に生まれた。
小さい頃は恐面の兄貴分に囲まれ、常に危険な世界と隣り合わせで生活してきた。
それが彼女が８歳の頃――大きな抗争にあい、両親を亡くして今は部下と三人暮らし。
新しい制服に新しい高校。
誰も彼女がヤクザの娘だとは知らない。
呉羽は普通の学生生活を夢見てきたのだ。
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