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『お嬢さん!外は危険です!せめてコレを……!!!!』
『大悟、それ……』
『十手ッス!』
いらんわ! と部下の一人、大悟を蹴りあげ呉羽は真新しい鞄を肩に担いだのはほんの30分前。
ヤクザの性分なのか、大悟は武器を持っていけと煩い。仕方なく呉羽はある物を手にした。
『これなら仕舞えるし……まぁいいか』
『よかったお嬢さん……俺達の居ない所でもしもの事があったらと思うと……』
『大悟』
『はい?』
『あたしが負けるとでも思ってんの?』
次期総長になるであろう呉羽の眼差しは凄みがある。大の大人が一瞬にして縮みあがった。
『……じゃあ、行ってくる』
『行ってらっしゃいませお嬢さん!』
呉羽は外に繰り出した、紺のブレザーにチェックのスカートに少々不釣り合いながらも黒のネクタイ。
まさに普通の女子高生の格好をして。
――――ただし、太股には武器であろう鎖が、周りには見えないように繋がっていた。
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