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普通の女の子を装ったとんでもない怪物が、高校の入学式に出席した事を知る者は、鳥羽高校で誰一人として知らなかった。
今のところは。
「1年A組……ここがあたしのクラス……」
入学式も終わり、まだ見ぬクラスメイトに会いに教室まで足を運んだ呉羽は、嬉しそうに微笑んだ。
こうして見れば本当に普通の可愛らしい女子高生である。スカートの中の鎖さえ見なければ、だ。
「えっと、隣の席、よろしくね?」
「あ、うん!」
ぼーっと椅子に腰を下ろしていれば、自分の隣に座った女の子に話しかけられる。
呉羽はぎこちない笑みを必死に造り、その少女を見た。
――――可愛い。
呉羽は口から涎が垂れるのを感じた。
まずいまずい!よ、涎垂れちゃった!
と、一人で慌てふためく呉羽を見た少女は声をあげて笑った。
その行為が呉羽の涎を促進させるとも知らずに、彼女は笑い続ける。
一通り笑い終えた彼女は、改めて自己紹介をした。
呉羽が涎を垂らす程の彼女の名は、飯塚 絵梨奈。サラサラの髪にちょこんとつけられた髪留めが印象的な、可愛らしい少女。
たちまち呉羽のお気に入りになったのだが、このあと、一騒動起きる。
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