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『え、彼氏いるの?』
ガックリ肩を落とす呉羽。隙あらば絵梨奈を狙っていたのか……
しかし絵梨奈の幸せそうな笑みには勝てず、渋々仲良く帰る二人を教室から見送った。
絵梨奈の彼氏はどうやら同じクラスらしく、ホームルームが終わるなり手を繋いで帰っていった。
「うん、とりあえず順調」
この平穏なクラスで、誰があたしをヤクザの次期総長だと見破ろうか。
呉羽は満足気に笑い、誰も居ない教室から窓の外を眺めた。
「――――あれは…?」
校門のあたりを見ると、ヤクザ――ではない、よかった――他校の不良らしき学生が、絵梨奈とその彼氏を囲んでいた。
この雰囲気は、まずい。
今までの習慣だろうか、常に殺気を感じる事に長けていたヤクザは、遠くからでも状況を確認できた。
バキッ!
と聞こえはしないが絶対した。
絵梨奈の彼氏が不良に殴られた。
「…………チッ」
見ていられなくなった呉羽が、鞄を担ぎ教室を飛び出した。
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