優しき人に捧ぐ謳

名

名を呼んで下さい
俺がここに存在するという事を
名を呼んで下さい
もう 誰も呼ばぬ名を

名を呼んで下さい
貴方の声が 俺を救う
名を呼んで下さい

暗闇に沈んだ俺を
貴方は引き上げてくれたんだ
暗闇に捕われた俺を
貴方は見つけてくれたんだ

名を呼んで下さい
繰り返し 貴方の声で
名を呼んで下さい

ひっこめた俺の手を
貴方は引っ張ってくれたんだ
高く聳えた俺の壁を
貴方は飛び越えてくれたんだ

名を呼んで下さい
―もう一人ではないンだと―
名を呼んで下さい
―教えてください―
名を呼んで下さい
―貴方の声で―
名を呼んで下さい

頑なになっていた 俺
頼るモノがなかった 俺
そんな俺の名を
貴方は呼んでくれたんだ

何も信じなかった 俺
何も信じられなかった 俺
そんな俺の名を
貴方は呼んでくれたんだ

もう誰も呼ばなかった 名
もう誰も覚えてなかった 名
その名を貴方は
一人呼んでくれんだ
一人覚えていてくれたんだ

名を呼んで下さい
まだ もっと
名を呼んで下さい
これは俺の我儘だけど
名を呼んで下さい

俺がココにいていいんだと
貴方の声が教えてくれる
俺がココにいるんだと
貴方の声が教えてくれる

貴方の優しさに
甘えている俺だけど
貴方の優しさに
頼っている俺だけど
名を呼んで欲しい

貴方の優しさで
生きている俺だけど
貴方の暖かさで
生きている俺だけど
名を呼んで欲しい

名を呼んで下さい
まだ もっと
名を呼んで下さい
これは俺の我儘だけど
名を呼んで下さい