お前は誰だ？

自殺

　──ガッ──

　大気を踏み込もうとした瞬間、大きな手が少年の肩を掴んだ。

　ビクッと飛び跳ねたその痩せこけた身体を、大きな手が柵に引き寄せる。

　柵と大気との僅かな隙間に、少年は尻餅をついた。

　ドクッドクッと心臓が早鐘を打っているのが、己の耳に届いた。

　「何をしようとしてたんだ？」

　男とも女ともつかない不思議な声が、少年に容赦無く降り注ぐ。

　驚きと恐怖のせいで、身動きすら取れない。