君の声

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「何故この世は身分などという意味の無い物が、ここまで人の自由を奪うのでしょうか……」   風邪で声の出ないはずの主役の女の子が美しい声で僕に語りかける。   いや、実際は違うんだけど、間近で見ててもそう思えるほどだ。はたから見たら微塵も疑いを持たないだろう。   皆のモチベーションは最高だ。やはり恐ろしく上手い人がいるとそれに引っ張られて自分も、となるものみたいだ。なんて名前だったかな? 初めて経験した。    彼女が舞台裏から主役の口にあわせてアフレコをする。  それだけ?  とか思うかもしれない。   でも、実際にやってみれば分かると思うけど、演劇は動き回る。だから顔の位置も変わる。よって彼女からは口が見えないことも起きるのだ。
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