君の声

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そして、僕としては実はもう一つの方を狙っていたんだけど……。上手くいくかな…… 「くそっ……! 敵兵がそこまで……! ……先に、逃げてください。後から追いつきます。僕を、信じてください」   まず、僕が台詞を。   そして、彼女がゆっくりとこちらを向く。客には横顔だけしか見えない。この程度ならばれる事も無いだろう。   彼女はゆっくりと息を吸い込み、少し、溜める。そして、軽く笑みを残し、喉を絞った。 「……また、会いましょう……ね……」   その一言に、一体何人の人が心を奪われたのだろうか。   言われた僕自身が、本当に、圧倒されて、思わず、目から一粒。   もう会えないと、どちらも分かっている。それでも、彼女は言う。また会いましょう、と。
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