君の声

16/20
前へ
/20ページ
次へ
多分、みんな感じているはずだ。彼女がどう感じているのか。表面の笑顔と、裏に込められた悲しみの顔が。   彼女は別段素晴らしい演劇らしい動きをしたわけじゃない。というか、動いていない。   それなのに……目に見えるほどのこの印象的な声はなんなんだろう……。  これを、狙っていた。言葉の素晴らしさだけで客を圧倒する。これが僕の狙いだった 声は、聞くものじゃなくて、聴いて、見て、感じるものなんだって。もしかすると匂いもあって、味もあるのかもしれない。   五感――きっと、第六感だって。全てで感じる事のできる、唯一のものなんじゃないのか。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加