君の声

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もう一度、これでもかと言うほどに長い溜息。   誰もいなくなった演劇部の部室で、椅子に座って窓の外を眺める。   露店が賑やかだ。おいしそうな白い煙がここまで昇ってくる。   気落ちしてても意味ないし……何か食べに行こうかな………   高校生活最後の文化祭だ。折角だし、楽しまないともったいないよね。   立ち上がろうとしたその瞬間。   廊下側のドアが音を立てて突然開いた。 「うわっ! 人がいたの!? …………あああぁぁぁぁああ! まぁいいや! ちょっとかくまって!」   見たことも無い彼女は、長い髪をなびかせて後ろ手にドアを閉めた。   そして何事かも告げずに部室に入り込むと、ロッカーに入って黙り込んだ。
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