君の声

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  それからほんの少しして、慌しい足音が追いかけてきたと思ったら、これまたドアを音を立てて開けて、覗き込んできた男一人。 「すみませんが、ここに女の子が来ませんでしたか? 探してるんですが……」   何故だろうか、僕はとっさに、でも自然に、最初からそう言おうと決めてたみたいに。 「いえ、誰も来てませんよ? 慌しい足音ならさっきこの教室を通り過ぎていきましたけど」 「そうですか……。失礼しました」   と、今度は静かにドアを閉め、大きな足音はだんだんと遠くになっていった。   「………もう……大丈夫?」
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