君の声

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「…………」   沈黙の続く中、時々聞こえる、パラパラ、という聞きなれた音。  なんだろうか、と振り向く前に、それが何かは分かっていた。 「それをするはずだったんだけど……。来年に後輩に頑張ってもらうとするよ」   台本を結構速いスピードで捲っていく。でも、速すぎるとかそういうわけじゃなく、なんて言ったら良いのかな……   演劇やってる人にとっては一番いいスピードとでも言えば良いのかな……   じっくり読みすぎて時間を無駄にすることもなく、速すぎて何も覚えていないわけじゃない。  そんな速さ。この子、演劇やってるのかな……? 「……………、ダメだよ………」 「え? なんて?」   ポツリと呟いたその声に反応できず、情けない声を出してしまった。  でも、それに返ってきたのは思いもよらない元気な声。
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