君の声

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「こんな面白いの、自分でやらなくちゃダメだよ!!」   彼女は台本持った手ごと机に叩きつけて、身を乗り出して主張した。  それに気押しされて窓にもたれかかるように逃げる僕だけど、それにもさらに詰め寄る彼女。 「そ、そうは言っても……。主役の子が風邪なんだって……」   思い出したみたいだ。あ、と口にして、乗り出した体を元に戻した。   そして、手を顎に置いて、まさに考えるポーズをとった後、これまたまさに思いついたポーズで、グーの右手をパーの左手にぽんと乗せた。   彼女は、一歩後ずさり、くるりと後ろを向いた後わざとらしい咳をし、大きく息を吸った。 「何故この世は身分などという意味の無い物が、ここまで人の自由を奪うのでしょうか……」    ブルブルッと、体中が震えるのを自覚した。
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